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【姫路】播州秋祭りに携わる職人にインタビュー 錺金具師編【かざり金具 きたかど】

【姫路】播州秋祭りに携わる職人にインタビュー 錺金具師編【かざり金具 きたかど】
目次

    姫路の秋の風物詩「播州秋祭り」。その裏側を支える職人さんたちを深掘りするインタビュー特集です。

    第5弾は、錺(かざり)金具を製作する「かざり金具きたかど」の錺金具師さんへお話を伺いました。

    屋台をきらびやかに装飾する「錺金具」。その製造工程とは?
    お客さんからのオーダーやリクエストの内容は、どのようなものなのでしょうか?
    仕事をする上での苦労や、やりがいなど屋台製作の秘話まで。

    そこには祭りにかける熱い思いが詰まっていました。

    錺(かざり)金具師 北角さんにインタビュー

    錺(かざり)金具師 北角さんの写真

    Q. さっそくですが、まずは御社について教えてください

    「かざり金具きたかど」は、屋台専門の錺金具の製作をおこなう製作所です。

    兵庫県立姫路工業高校で、同じ山岳部の2年先輩だった竹内博之さんのご実家である「竹内錺金具店」が求人を出していて。山岳部の顧問の先生が、それを見て勧めてくれたんです。

    「竹内錺金具店」で20年以上修行したのち、独立しました。「かざり金具きたかど」を創業して7年になります。

    この工房は、もとは親父がしていた印刷屋だったんですよ。

    Q. 錺金具の製造工程について教えてください

    錺金具は1つ1つがオーダーメイドの一点ものです。まずはお客さんのご要望をお伺いして、下絵に起こすことから始めます。

    下絵が決まったら、大きさに合わせて銅板を切り出して、下絵を写し取る。切り出した銅板は硬いので、火を入れて「焼きなまし」作業をし、柔らかくします。

    それから下絵に合わせて、表面からと裏面から「たがね」を使って打ち出していきます。

    作業風景の写真

    打ち出す作業をしているうちに、また銅板が硬くなってくる。そしたら再度「焼きなまし」をして......。この作業を、形が決まるまでくり返します。

    最後に「メッキ」をして仕上げます。メッキは、京都のメッキ屋さんにお願いしています。

    Q. 銅の板から、どのようにして立体的にしているのでしょうか?

    それぞれのパーツを「はんだ付け」して、立体的にしていきます。

    もしくは、取り付ける場所のカーブに合わせて曲げておき、現地で釘を使って屋台本体に取り付けながら立体的に仕上げる場合もありますよ。

    Q. 錺金具はどれくらいの頻度で新調されるのでしょうか?

    屋台新調のタイミングで一新されるケースが多いです。多いのは20~30年に1回くらいでしょうか。

    あとは壊れたときに修復したり、そのパーツだけ作りなおしたりもします。

    新調されて不要になったパーツは、ほかの地域の屋台に活用されるケースもありますよ。

    Q. お客さんからはどんなリクエストがくるのでしょうか?

    ほかの村の屋台を参考に、「図柄」「大きさ」、そして「取り付ける際のパーツとパーツの隙間」といったオーダー内容を決めてこられる方が多いです。

    なかには「ここのパーツは金メッキ。ここのパーツは無光沢の銀メッキで」など、かなり明確にイメージを決めてこられる方もいます。

    かざり金具の写真

    Q. モチーフはどんなものがあるのでしょうか?

    「鷹(たか)」「虎」「鶴」「亀」「鳳凰(ほうおう)」といった動物や、「松竹梅」、「蘭(らん)」や「菊」といった草花などですね。神話や古書に登場する神様や人物もあります。

    屋台の屋根の四隅に取り付けられる「昇総才(のぼりそうさ)」には、「龍(りゅう)」や「鷲(わし)」を持ってくることが多いですね。

    「虎に竹」といった「図柄の取り合わせ」も大切にします。1台の屋台にたくさんのモチーフの錺金具を装飾します。

    Q. 播州地方の屋台の錺金具ならではの特徴はありますか?

    重量感があるように見えて、実は軽い点ですね。

    ほかの地域の屋台は「引いて」移動させますので、分厚い銅板を使って作られています。
    しかし、播州地方の屋台は「担いで」移動させますので、「軽さ」が重要になってきます。

    うちでは薄い銅板だと0.4mm厚のものを、厚くても1mm厚のものを使用しています。薄い分、破れたりゆがんだりしやすいのが難しい点です。

    Q. 道具へのこだわりを教えてください

    道具は既製品の木づちやボルトを削ったりして、自分で作ることが多いです。必要に応じてその都度作っているので、工房にどれくらいの種類があるのかも分からないくらいです。

    道具の写真

    Q. 錺金具作りはどんなところが特に難しいのでしょうか?

    なんと言っても「下絵の製作」ですね。

    お客さんが描かれているイメージやリクエストをくみ取って、下絵に反映させる。1枚1枚オーダーメイドなので、これまでの経験も生かしながら、花の場合は花の図柄の本を見たりして書き起こしています。

    Q. では、やりがいや喜びを感じるときはどんなときでしょうか?

    やはりお客さんのニコニコした顔を見られたときですね。

    いよいよ錺金具を取り付けに行く前日は「うまく合うかな? 」と、今でも大変緊張します。
    パーツも多く、屋台も曲線が多いので、なかなかぴったり合わすのは難しいんですよ。
    現地で微調整をしながら、「もっとこうしたら良かったかな? 次はこうしよう」など反省することもあります。

    でも、お客さんはとにかくニコニコと、うれしそうに後ろから見てくれている。そんなとき「この仕事をしていて良かった!」と思いますね。

    実はもう1人いるスタッフは、僕が修行した「竹内錺金具店」の息子なんです。屋台作りは1人ではできない。1台の屋台にたくさんの職人さんの手がかかっている。さまざまな分野の職人さんと関わり、協力しながら作り上げていくことも面白さであり、喜びですね。

    かざり金具きたかどの会社内観

    【姫路】播州秋祭り2021年版

    今年も播州秋祭りが熱すぎる!日程まとめ 中止情報も

    企業情報まとめ

    企業名 かざり金具きたかど
    住所 兵庫県姫路市土山4-12-26 MAP
    定休日 不定休
    営業時間 8:30~17:30
    その他 お問い合わせの際は「姫路みたい」を見た。とお伝えいただくとスムーズです。

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    2020年10月24日時点での情報です。
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