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【姫路】播州秋祭りに携わる職人にインタビュー 太鼓師編【眞田太鼓屋】

【姫路】播州秋祭りに携わる職人にインタビュー 太鼓師編【眞田太鼓屋】
目次

    姫路の秋の風物詩「播州秋祭り」。その裏側を支える職人さんたちを深掘りするインタビュー特集です。

    最終章となる第6弾は、屋台と並んでお祭りに欠かせない、太鼓を製作する「眞田太鼓屋」の太鼓師さんへお話を伺いました。

    人々の心を躍らせ、胸を高鳴らせる「屋台太鼓」の音色。その製造工程や新調や張り替えの頻度は?
    お客様からは、どのようなリクエストをされるのでしょうか?

    そこには祭りにかける熱い思いが詰まっていました。

    太鼓師 眞田さんにインタビュー

    インタビュー相手太鼓師眞田さん

    Q. さっそくですが、まずは御社について教えてください

    弊社は屋台で使う太鼓を中心に、和太鼓の製造をおこなう会社です。明治時代に創業し、100余年。私は4代目です。学校を卒業してすぐに家業を継ぎ、14年になります。

    和太鼓はそんなに頻繁に新調されるものではありません。姫路市の妻鹿には、400年以上使われている太鼓もありますよ。

    ですから、普段は主に「張り替え」の作業をおこなっています。祭りが特に盛んな姫路市の白浜地域などからは、毎年張り替えを依頼されます。私1人で年間約30~40台の太鼓の張り替えをおこなっています。

    Q. 屋台太鼓を新調する場合の製造工程について教えてください

    まずは1本買いした木材を切り出し、内径をくりぬいて1枚ものの胴を作り、金具を取り付けます。

    次に皮を張る作業です。仕入れた皮は乾燥して硬いので、数日間水に浸けて柔らかくします。それを太鼓の胴に仮掛けして養生します。それから音を確認しながら、皮を少しずつ張り伸ばしていき、最後に留めます。

    Q. 屋台太鼓の胴に使われるのは何の木なのでしょうか?

    木材は堅く木目が美しい「ケヤキ」を使うことが多いです。うちは国産の「ケヤキ」のみを使用しています。ほかにも「栓(セン)」「タモ」「シオジ」などが使われることもあります。

    和太鼓の中には、板になった材木を樽状に貼り合わせて作られているものもありますが、1本の木からくり貫いて作ったものとは耐久性が違ってきます。

    とはいえ、和太鼓が作れるくらい径が太い国産のケヤキは、年々手に入りにくくなっています。うちもいくつか在庫で持っていますが、それがなくなって、いよいよ手に入らなくなったらどうしようかと考えています。

    太鼓の写真

    Q. 皮は何を使われているのでしょうか?

    牛を使っています。牛革は非常に厚く頑丈なので、和太鼓のように耐久性が必要なものに適しています。

    牛革も一頭買いしたものを何枚かストックしており、ご要望をお伺いしながらお客様と一緒に選びます。

    選ぶときの重要なポイントは「厚さ」。厚さが増すごとに低く響くような音色に、薄くすると高い音色になります。

    Q. 皮の「厚み」以外には、お客様からどんな要望がありますか?

    あとは皮の締め加減と言いますか、「張り方」に関するご要望も多いです。今使われている太鼓より、しっかり張ってほしいとか、少しゆるめに張ってほしいなどです。

    皮の厚みや張り方などを微調整しながら、お客様が思い描かれている音色に近づけていきます。

    木材の写真

    Q. 屋台太鼓作りに使用する道具についてのこだわりを教えてください

    太鼓の胴に仮掛けした皮を伸ばすときに使用する、木の板とくさびですね。

    今はジャッキを使ってこの作業をおこなっているところも多いですが、鉄製のジャッキを使って強引に皮を伸ばすと、太鼓の胴に負荷を与え傷めることにつながります。なので、うちでは昔ながらの木の板とくさびを使うようにしています。

    Q. 屋台太鼓作りはどんなところが特に難しいのでしょうか?

    皮の裏をカンナで削る作業ですね。太鼓師はこの作業ができて初めて一人前と認められます。

    お客様のご要望にかなう皮を選んで、理想の音色を実現する厚みへ均一に削っていく。この技術を習得するのに、最低5年はかかりますね。

    このカンナは、三木の金物職人さんに特注で作ってもらったものです。

    カンナの写真

    Q. では、やりがいや喜びを感じるときはどんなときでしょうか?

    お客様に「いい音になった! 」と喜んでいただけたときですね。

    みなさんそれぞれに「村の音」というのがあり、お客様は今使っている太鼓を基準に、より良い音色を求めて来られます。

    お祭りのときは、手がけた和太鼓の音色をできるだけ聞きに行くようにしているんです。
    そこで皆が楽しそうに笑顔でいるのを見て、「この仕事をしていて良かった!」と思いますね。

    今年は新型コロナウイルスの影響で播州の祭りも中止が相次いでいますが、「来年はまた再開できるといいな」と心から願っています。

    眞田太鼓店内観の写真

    私自身も屋台の上で太鼓をたたく「乗り子」をしたり、「担ぎ手」をしたり、子どものころから参加者側としても播州の祭りに関わってきました。
    でも、この地域も年々人が減っていて、「人が足りないから屋台を出せない」という村も出てきています。

    播州の祭り文化の伝統を、どう絶やさず後世に残していくのか? 考えていく必要がありますね。

    企業情報まとめ

    企業名 眞田太鼓屋
    住所 兵庫県姫路市網干区高田 MAP
    定休日 不定休
    電話番号 079-272-1771
    駐車場 有(無料)
    その他 お問い合わせの際は「姫路みたい」を見た。とお伝えいただくとスムーズです。
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    2020年10月28日時点での情報です。
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