万葉集から令和がやってくる!いなみ野「万葉の森」

万葉集から令和がやってくる!いなみ野「万葉の森」
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    いなみ野「万葉の森」は、120種類もの万葉植物が植えられている回遊式日本庭園。
    万葉集で詠まれた歌碑が、それぞれの植物に添えられています。そのうちのひとつが、新年号「令和」の典拠となったものです。

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    案内してくださったのは、稲美町教育委員会教育政策部の永田さんです。
    「4月1日に新元号が発表されて1時間半くらいたった頃でしょうか? テレビ局から連絡があり、歌碑を取材したいということでした。」
    「時に初春の令月にして 気 ()く風 (やわら)ぐ 梅は 鏡前(きょうぜん)の粉を 開き 蘭は 珮後(ばいご)(こう)(くん)ず」
    万葉集巻五、梅見をする宴会で詠まれた32首の序文で、原文は漢詩だったそうです。

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    「とってもきれいな新春の月夜に、空気は美しく風はさわやかですね。 白梅は美しい女性が鏡の前で装うおしろいのように咲いているし、欄は貴人の飾り袋のように香っていますよ。
    永田さんに解釈していただきました。色香ただよう品のよい詩ですね。
    当時梅は中国から伝わったばかりで、とても珍重されていたようです。
    梅見の宴のホストは地方官僚の大伴旅人。
    歌碑には大伴池主となっていますが、読み人について実際は不明だそうです。

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    万葉の森では、梅に対する香草としてあげられた蘭が取り上げられています。
    春蘭という東洋のラン科植物で、中国種と日本種があるといいます。
    おもに観賞用のほか、天ぷらや酢の物など普茶料理という中国から伝わった精進料理に用いられます。
    塩漬けにした花に湯をそそいだ蘭茶はお慶びの席を彩りました。花言葉は「ひかえめな美」「かざらない心」。

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    「偶然なのですが、書き方にゆらぎがあり令と和の文字がきれいに並んでいるでしょう。」と、永田さんは指差されました。
    令和の「和」は、「おだやかな」「争いのない」という意味を持ちます。元号としてこれまでに19回使われてきました。
    「令」は、初めての登場になります。「清らかで美しい」「おめでたい」「よろこばしい」などを表す文字です。古くは「神様の御告げ」を意味したそうです。

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    「季節の花を愛でながら、花に添えられた万葉の歌に親しんでいただけると嬉しいですね。」と、永田さんは話されます。
    流れる水のせせらぎが、よりいっそう心にしみる静かな庭園。
    万葉の植物はつつましいほどに楚々として、姿かたちや匂いを誇ることはありません。
    見落としそうな花にそそがれる万葉人の感性に触れたような気がします。
    おおらかで伸びやかな太古の世界には、人と花は同じステージに生きたのでしょう。

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    5月1日は新元号「令和」がはじまる日。万葉の森では、新しい令和の碑が設置され除幕式が行われます。
    「令和」の扉が開けられる日、ゆかりの地を訪ねてみたいものですね 。

    施設名 いなみ野 万葉の森
    住所 兵庫県加古郡稲美町国安1286-7 MAP
    定休日 月曜日 年末年始(12月28日~1月4日)
    営業時間 9:30~17:00(7月~9月)
    9:30~16:00(10月~6月)
    入場料 無料
    電話番号 0794-92-3770
    駐車場 有(無料)
    HP 公式ホームページ
    2019年4月30日時点での情報です。
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