【本田商店】大吟醸の頂点を極める「龍力」~播磨の地酒~

【本田商店】大吟醸の頂点を極める「龍力」~播磨の地酒~
目次

    龍力なくして播磨の地酒は語れない、蔵元「本田商店」。

    銘品を生み出す酒造りの秘話と、本田商店ならでは酒造見学の楽しみ方を現社長・本田眞一郎氏からうかがいました。

    米の酒は米の味 本田商店の酒造り

    本田商店社長・本田眞一郎氏の写真

    龍力の銘柄で広く知られる本田商店が創業したのは、1921年。兵庫県姫路市網干にある蔵元です。

    本田家は代々播州杜氏の総取締役を勤める家系ですが、その発端は元禄時代にまで遡ります。

    本田商店の酒造りは、日本酒の原材料になる米の厳選にあります。地元生産者の酒造好適米を吟味するばかりでなく、玄米からの精米工程も自社でおこないます。原料米をとことん追求して生み出されるのが、龍力の生酒や吟醸酒なのです。

    酒造好適米と食用米のちがい

    酒造の様子

    酒造りに適した米は、酒造好適米と呼ばれます。精米中に砕けないためには、二つの条件があります。ひとつは大粒であること、ふたつ目は米の中心にある心白部分が大きすぎず偏りのないこと。

    蒸したときに表面が粘らず、麹菌が米の深部まで浸透しやすく充分に繁殖できることも重要。主食としていただく米にはたんぱく質やミネラルがたくさん含まれ、それがご飯の旨味になります。

    反対に酒では、雑味や苦味として現れてしまいます。鉄分やたんぱく質、脂質の多い米は光沢や香味が損なわれるので酒造りには向いていません。

    龍力が厳選する酒米とは

    酒造好適米の写真

    酒造好適米は全国で96品種が指定されています。その中の筆頭にあげられるのが"山田錦"で、9割が兵庫県下で生産されています。

    本田商店が使用する原料米は、山田錦が85パーセント。しかも特A山田錦だけが本田商店の酒になります。兵庫県加東市社地区、東条地区、三木市吉川地区だけに産地を限定するという徹底ぶり。山田錦は心白が線状で、吟醸酒の製造に最高の米といわれています。

    10パーセントは五百萬石が使われます。山田錦とならぶ酒米で、淡麗なすっきりした酒に。
    産地に選ばれたのは、野生のコウノトリが最後まで生息した兵庫県豊岡市。天然記念物コウノトリ保護プロジェクトに市を上げて取り組んでおり、ドジョウやカエルなどコウノトリが好物とする餌を増やすために、無農薬・減農薬農法を推進しています。
    本田商店では100パーセントコウノトリ餌場米五百萬石を使用。寒冷地の気候風土に適する早稲米で、龍力の年度最初のしぼりたてになります。

    本田商店の職人たちの写真

    残りの5パーセントは、雄町、山田穂、神力が使われます。雄町は酒米のルーツですが、栽培が難しく、減少の一途をたどっていました。しかし、瀬戸町特別栽培米雄町研究会の尽力により復興。

    本田商店では同会会員農家の雄町を使用しています。雄町から造られる酒は、深みのある味わいと芳醇な香りが特徴。山田穂は兵庫県多可郡多可町中区で誕生した酒米で、のちに山田錦を生んだ種となります。神力はたった3穂の種籾からよみがえった酒米で、五百萬石の遠い祖先にあたります。龍力に使用されるのは兵庫県たつの市御津町中島産。神力の原産地であり、奇跡の復活をはたした地です。

    こだわりぬかれた播磨の地酒

    龍力の商品写真、米のささやきなど

    本田商店は、1970年には吟醸酒の研究開発に力を注ぎました。地酒ブームの先駆け的蔵元といえます。

    この吟醸酒が海外進出の立役者になりました。大量販売を主流にする大手酒造に反して、試飲会を通して高級志向の銘柄を主力に。海外和食ブームとの相乗効果もあって、試飲会企画は大ヒット。またたく間にホンコンで基盤ができあがりました。

    ホンコンで大爆発した龍力の高級大吟醸酒は、日本酒のロマネコンティともてはやされ、台北、上海、シンガポールへ飛び火していきました。

    龍力の商品写真

    日本国内でも、試飲会を中心にファンを伸ばしています。東京、横浜、大阪、神戸などの主要都市有名デパートでの試飲販売はどの会場も好評。

    蔵元主催で開催される「関東地区龍力を楽しむ会」は、18回目を迎えました(2017年時点)。
    2017年10月14日にグランドオーク半蔵門で開催され、平成29年全国新酒鑑評会に出品した荒走りをはじめ、秋津、上三草、吉川米田といった山田錦生産地別の純米大吟醸酒、きくこうぼのお酒など貴重な酒が披露されました。

    もちろん龍力の無濾過生酒やドラゴンシリーズなど本田商店のすべての酒がラインアップ。龍力びいきには冥利に尽きるイベントといえるでしょう。

    ※2020年の「関東地区龍力を楽しむ会」は中止となりました。

    地産地消 播磨の旨い酒

    社長と酒蔵の写真

    躍進し続ける本田商店ですが、本田眞一郎社長は「ビッグになるのは夢ではない。」と言いきります。
    「龍力の酒になる米はかぎられている。調達できる米の分だけ酒を造ればいいのです。」と語る口調は穏やかでした。

    地元で生産したもので、地元に必要なものだけを作る"地産地消"のポリシーに重みを感じるその言葉。「龍力のない地域へは持っていってあげるしかないから。」と語る本田眞一郎社長。龍力を知って、本場の播磨で飲んでみようと、姫路を訪ねてもらうのが狙いなのだそう。

    「さすがに旨いといわれる酒を造り続ける」という蔵元の姿勢は、一朝一夕では生まれません。播州杜氏を江戸時代から務めた脈々とながれる血筋があります。自社地酒の誇りとともに、播磨地元へのあふれる愛情を伝わってきます。本田眞一郎氏のお人柄なのでしょう。

    龍力 酒造見学の魅力

    本田商店の蔵元見学の写真

    播磨の地酒を代表する蔵元の酒造見学となると、身構えてしまいそうですが、本田商店の酒蔵見学はとにかく楽しいのです。

    酒造見学が実施される期間は、2月1日から3月上旬に限定。酒造りにこだわる本田商店は、新酒ができあがるこの時期にだけお披露目します。
    平日、土曜日、日曜日、祝日を問わず開催。週末なら午前11時や午後3時、平日なら午後6時からなど希望に沿ってくれます。申し込み時に相談してみましょう。

    社屋3階にある試飲会場は、最大40名まで受け入れが可能。自治会単位や友達同士などグループでの申し込みが多いそうですが、一人からでも開催してくれますよ。

    本田商店の蔵元見学の写真、社長が話している写真

    見学会は、お酒の話からはじまります。見学会に参加したメンバーに合わせたお酒の話題が選ばれ、本田眞一郎社長自らスピーカーになられることが多いそう。

    専門スタッフの話は素人にもわかりやすいと評判。酒造りの歴史や地酒の成り立ち、酒米の話など毎回ちがう話が聞けるのも人気のようです。

    酒造りの機器

    本田商店酒造見学は実際の現場で、精米から瓶詰めまですべての工程が見ることができます。取材した2017年10月上旬は、早稲米五百萬石の精米が始まっていました。吟醸作りに欠かせない麹造り、龍力の味わいと香りを生みだす"生もと造り"が見学できるのは感激のひとこと。

    生もと造りとは、天然の乳酸菌と酵母をじっくりと育てる日本酒の伝統的技法。通常の2倍以上の時間と手間がかかります。瓶詰め工程は今シーズンから稼動する新工場で見学できます。

    酒造見学の様子の写真

    酒蔵見学のあとは、いよいよお楽しみの試飲会がはじまります。絞りたての新酒の利き酒は、この時期だけのもの。しかも利き酒会は1時間ほど開催され、一本が数万円という龍力自慢の純米大吟醸秋津まで振舞われることもあるそう。お料理は、参加者自身が自由に持ち込めます。まさしく、新春の宴といえる酒好きにはうれしい利き酒会でしょう。

    利き酒で吟味した日本酒は、その場で購入もできます。お開きにはできたての酒粕がお土産にいただけて、費用は1,000円! リピーターが続出するのも納得です。

    酒造見学の申し込みは、電話で受付けています。

    秋におすすめ「純米吟醸ひやおろし」

    「ひやおろし」とは?新酒とのちがい

    酒米の収穫は9月中旬から始まり、10月に最盛期を迎えます。お米を仕込み、日本酒になるまではおおよそ2ヶ月半かかるのだそう。 もっとも早いものだと12月から、そのシーズンの新酒が出荷されていきます。

    新酒の特長は、香りが華やかで味がさっぱりしていること。特に、春先に旬を迎える苦みがある山菜や、脂身の少ない淡白な魚などとの相性がいいとされています。

    龍力のひやおろしの写真

    それに対して秋に出荷されるひやおろしは、春を過ぎ、もっとも暑い夏の期間を寝かせて成熟したもの。

    ひやおろしの語源については諸説あります。そのひとつが「ひやのまま卸せる」から来ている、というもの。
    その昔、冷蔵技術が確立されていなかったころ、夏場は温度の影響でお酒が傷んでしまうため、加熱殺菌をしてから出荷していました。
    夏の厳しい時期を過ぎると「加熱しなくても出荷できる(ひやのまま卸せる)」ようになります。ここから、秋に出荷されるお酒をひやおろしと呼ぶようになったのだといわれています。

    ひやおろしは、新酒と比べて香りは控えめになりますが、味に深みとコクが増し、舌触りがまろやかになります。
    食欲の秋にぴったりな味のしっかりしたおつまみや、脂が乗った魚との相性はバツグンですよ。

    豊かな味わい 龍力のひやおろし

    龍力の純米吟醸ひやおろしの写真

    純米吟醸ひやおろし 1,800円(税抜)/720ml

    龍力「純米吟醸ひやおろし」は、お酒自体の味が濃厚なだけでなく、深みや甘みも充分に感じられます。
    冷酒として飲んでもアルコールのツンツンした雰囲気があまりなく、熟成したお酒の味わい。

    サンマの刺身や生牡蠣、紅葉鯛のあら炊きなどと合わせると、さらにおいしくいただけそう。おいしい旬の食べものがたくさん出てくるこれからの季節に、ぜひおすすめしたい日本酒です。

    龍力のひやおろしは9月から出荷が始まり、新酒の出荷が始まる直前の11月まで出回っています。

    今回ご紹介した純米吟醸のほか、しっかり辛口の「播州辛口」、山田錦や神力など酒米の種類にこだわった「無濾過生原酒」、そして純米大吟醸の人気ブランド「米のささやき」の4銘柄があります。それぞれに異なる特徴がありますので、ぜひ飲み比べてみてくださいね。

    龍力のひやおろしが当たる!プレゼントキャンペーン

    8月27日(木)から9月3日(木)までに、姫路みたい(@himeji_mitai)と本田商店(@tatsuriki_official)のInstagramをフォロー&投稿をいいねしたの中から、抽選で1名さまに「純米吟醸ひやおろし」をプレゼント!
    記事を読んでコメントに感想を書くと当選確率が2倍に!

    興味のある方は、このチャンスをお見逃しなく!

    ※応募は、20歳以上の方に限ります。

    企業情報まとめ

    蔵元store 株式会社 本田商店
    住所place 兵庫県姫路市網干区高田361-1 MAP
    電話番号phone 079-273-0151
    HPlink 本田商店【公式】

     →播磨の地酒物語NEXT 夢前町の誇り壺坂酒造

     →播磨の地酒物語NEXT ヤエガキ酒造 酒造りの真髄

    姫路みたいの日々の更新は、TwitterFacebookでお知らせしています。Instagramはグルメやファッションをメインで更新しています。チェックしてみてくださいね。

    2020年8月27日時点での情報です。
    この記事は面白かったですか? (評価ボタンをクリックするとポイントがたまります。※要ログイン)
    みたいにゃ よかった顔
    よかった
    80%
    1
    みたいにゃ ふつう顔
    ふつう
    1%
    1
    みたいにゃ いまいち顔
    いまいち
    2%
    1