【紫陽花寺】書写山奥の院・通宝山弥勒寺のあじさいが見頃

近畿地方にアジサイ便りが聞かれると間もなく梅雨に入りました。雨にぬれながら凛として咲く紫陽花は、日本の梅雨の風物詩ともいえます。
寺院の周りに植樹されることが多く紫陽花寺と呼ばれる名所が各地にみられます。
姫路市のあじさいスポットで人気なのは、夢前町の通宝山
寺伝によると、長保2年西暦1000年と記されています。書写山圓教寺の奥の院と呼ばれるのは、その所以です。
性空上人の徳を慕う花山法皇は1002年に弥勒寺に行幸されました。
10年前までは、境内から日本一スケールの布袋像まで紫陽花に埋め尽くされていたそうです。
「珍しいアジサイがあると聞くと分けてもらい育てていました」と前住職の夫人は目を細めて優しく話されます。弥勒寺に嫁いから50年間あじさい栽培に費やされたそうです。
今の惨憺たる状況は鹿の獣害。20頭の鹿が二つのグループを作り、里山に出没し農作物を荒らすそうです。
しかもアジサイの新芽は鹿の大好物らしく、一夜にして総なめの被害にあったこともあるといいます。
「子供の鹿も多くいて、おもしろがって紫陽花の枝を折ったりするのですよ。」
ご住職も鹿には手を焼いているようです。小鹿のバンビといえば愛くるしくですが、こんなイタズラは迷惑千万。

「中にはアジサイの葉まで食べるツワモノ鹿もいます。」
紫陽花の葉や茎には毒成分があると報告されています。吐き気、めまい、嘔吐などが中毒症状です。
日本での症例レポートによると、2008年に茨城県、大阪府で、2011年に秋田県で事故がありました。
料理に添えられた紫陽花の葉を食べたのが原因で、いずれも症状は軽く2、3日で快方に向かったようです。
鮮やかな紫陽花の葉は、季節を彩る料理の引き立て役として使われますが、くれぐれも口にしないようにと注意が呼びかけられています。
紫陽花の葉を食べた鹿は、適応進化をとげたのでしょうか?それとも、山に帰ってからお腹が痛いと泣いていたのでしょうか?
「紫陽花は来週末6月16日位から見頃を迎えると思います」
間もなく最盛期を迎える紫陽花が見守る境内は、檀家さんにより掃き清められています。
「これだけ広い境内をいつもきれいにしていられるのは、檀家さんのご協力があってこそですね。」と、ご住職の奥様が静かに話されました。
そうこうお話を伺っていると、参拝者がいらっしゃいました。30代のかなりのイケメンさんです。御朱印集めを趣味にしていらっしゃるそうです。
「この前は長谷寺で御朱印を頂きました。」
奈良県の陽花寺として、長谷寺は有名スポットですね。リポーターも長谷寺を訪れ本堂で精進料理を頂きました。
梅雨の合間の晴天が続き紫陽花がバテ気味だったのを覚えています。
御朱印女子は全国区でブームですが、御朱印男子もこれから盛り上がりそうです。

御朱印に布袋尊の文字が。実は布袋さま弥勒仏の化身とされ、
高さ5メートル、重さ130トンという圧巻の布袋像。中国杭州市からはるばる弥勒寺にお越しになられました。
初対面にもかかわらず、布袋さまのご尊顔があまりに前住職にそっくりなので、みんなが息をのんだというエピソードが残されています。驚きのデジャブーですね。
にこやかに布袋尊を語られる現住職も、どこか布袋さまに似ていると心の中で思いました。

ご住職が手にしてらっしゃるのは、夢前町名物「たまごせんべい」
製造工場閉鎖にともない幻となっていたのを弥勒寺が復元しました。
布袋和尚の愉快なイラストが焼き印されています。檀家の法要時や参拝者に功徳の品として配られるそうです。
「牛乳と一緒に食べるとおいしいですよ。」というご住職。ユーモラスぶりも布袋さまクラスでした。
スポット名terrain | |
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住所place | 兵庫県姫路市 |
お問合せ先phone | 079-335-0330 |
駐車場local_parking | 第一・第二駐車場 無料 |
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