利き酒師に聞く日本酒の味わい方 利き酒の3つのポイント

利き酒師に聴く日本酒の味わい方 利き酒の3つのポイント
日本酒のコンテストで審査に使われる方法が利き酒です。
酒類研究所や国税庁の鑑定官、醸造試験場の技術者、酒造メーカーの杜氏などプロフェッショナル中のプロが鑑評します。
私たちは専門家ではありませんが、プロにならって利き酒のおおよそのポイント押さえてみたいですね。
きっと日本酒の楽しみ方が広がることでしょう。
目次 ・日本酒の姿かたちは? 色で見極める日本酒の美人度 ・日本酒は香りが命! 3回の時間差攻撃で香りをつかむ ・真剣勝負! 「甘」「酸」「苦」「辛」「渋」を味わい尽くす |
人を外見で判断してはいけないといいますが、姿かたちは大事な情報です。
日本酒も同じ。日本酒は元来うっすら色がありますが、種類によって、色の濃さが違います。
黄金色や琥珀色、褐色など色味も微妙に異なります。
そして透明度、光沢やテリ、冴えといった表情も見逃さないようにしたいものです。
色を見分けるには、利き猪口が最適です。
利き猪口は鑑評会でプロに使われるものです。
利き猪口の底に青い染料で蛇の目が描かれています。猪口の白い部分と青の部分の境目で色をたしかめます。
透明のグラスが使っても日本酒の色を判断できます。
二重丸を描いた白い紙にのせて観察すると、よりわかりやすくなります。
酒器を鼻に近づけて香りを確かめます。これを「上立ち香」といいます。
温度が高いほど匂いがたちやすくなります。少しもの足りないと感じたら、両手で器をあたためると、本来の匂いがたちます。 甘い果実のような香り、花のような香りなど自分の言葉で記憶します。中には強い香りを感じるものもあるでしょう。不自然な場合は、人工的に香りをつけたとも考えられます。
次にお酒を少量すすり、舌の上でころころと転がします。このときの香りがそのお酒が持つ基本的な香りで、「基調香」と呼びます。
すっと軽やかな感覚、ごつんと押しの強い印象、滑らかで綺麗な雰囲気など直感的なインプレッションをしっかり覚えておきましょう。
このあと口から息を吸いこみます。ジュルジュルとかズルッとか変な音が出ても気にしなくてかまいません。口の中の酒と混ざり合った空気を鼻から抜いて、もう一度香りをたしかめます。これまでわからなかった新たな香りに気づくはずです。これを「含み香」といって利き酒の大きなポイントです。
フルーティでしたか?麹のよさが生きた香りでしたか?それとも枯れたような深みを感じる香りだったでしょうか? 上立ち香・基調香・含み香の印象のあまり違わないものが、香りのバランスにたけているわけです。良い酒の重要なポイントになります。
甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の5種類を五原味といい、舌の味蕾という味センサーから神経に伝えられます。 日本酒の利き酒では甘味・酸味・苦味のほか、辛味・渋味を加えた5種類を味わい分けます。辛味と渋味は味蕾を介さずダイレクトに味神経に刺激として伝わるとされています。 味神経網の分布は舌の領域によりばらつきがあるので、味の感受性に多少さの違いがあるそうです。 舌全体に行きわたるように転がすと、味の違いがわかりやすいでしょう。
味の感じ方には個人差があるといわれています。それは好き嫌いという嗜好ではなく、得意の分野の違いです。例えば、甘味に鋭い感覚を持つ人、酸味に強く反応する人などといったものです。「甘味・酸味・苦味・辛味・渋味」すべてオールマイティという人はほとんどいません。自分の敏感な味覚を軸にして、5つ味を相対的に比較して評価します。 口に含んだ数秒間でも、日本酒の味に変化がおこります。口をつけたときは程よい酸味を感じたが、しばらくすると甘味が強くなるといった感想もでることでしょう。
次にごくんと呑み込んでのど越しをさぐります。口の中からすっと消えていったでしょうか。それとも余韻が残ったでしょうか。滑らかに酒の気配がなくなったでしょうか。お酒のキレ、後味がここでわかります。
審査会の利き酒は、出品された日本酒の欠点をさがす、つまり減点法で優劣を決定します。
こちらは日本酒の専門家に任せておいて、私たちはお酒の長所をみつける利き酒をめざしましょう。
さりげなく日本酒ソムリエ気分で、今夜はどちらで一杯ですか?肴は今が旬の牡蠣なんて、イナセですね。