【加東】"兵庫の酒米『山田錦』生産システム"が日本農業遺産に認定!Vol.2|①気候風土「酒米買うなら土地見て買え」

「酒米の王者」と称される山田錦の中でも、突出した品質の高さを誇る兵庫県産の山田錦は、全国の酒造家から絶大な信頼を得る兵庫県の特産物です。
そんな兵庫県産山田錦の品質や生産技術などが評価され、兵庫県北播磨・六甲山北部地域における「兵庫県の酒米『山田錦』生産システム」が、2025年1月に日本農業遺産に認定されました。
認定の決め手となった評価ポイントは、大きく分けると3つ。
1.気候風土「酒米買うなら土地見て買え」
2.技と情熱「倒して倒さず」
3.酒米の価値「酒米の王者」
兵庫県産山田錦の魅力をシリーズでお届けする今企画。
第2回のテーマは、評価ポイントの"1.気候風土「酒米買うなら土地見て買え」"について、詳しく解説していきます。
極上の酒米を育む地理的・気候的な優位性
認定地域の位置図
兵庫県内の酒米種子の配布先を示す。山田錦配布先であるオレンジ色が日本農業遺産認定地域。
兵庫県産の農作物の中で、最も生産量が多いのは米。
特に、山田錦の全生産量の約6割を兵庫県産が占めており、兵庫県は酒米生産量でダントツの日本一です。
今回、日本農業遺産に認定された兵庫県北播磨・六甲山北部地域の山田錦。
具体的には、加東市、小野市、三木市、加西市、西脇市、多可町、三田市、神戸市北区、猪名川町の9つの市町にあたります。
この辺りは六甲山の北側に位置し、標高約50~150mの山麓や谷あい。
温暖で日照時間が長く、降水量が少ない瀬戸内海式気候に属した地域です。
六甲山系の山々が夏場の暖かく湿った空気を遮断することで、登熟期間(穂が出てから熟すまでの期間)中の気温差が10℃以上に達します。
このように、昼夜の寒暖差が大きいことが良質な山田錦を育む重要なポイント。
というのは、夜の気温が低いほど稲の呼吸による消耗が少なく、より多くのデンプンを蓄積することができるから。
その結果、中心部に心白(しんぱく)と呼ばれるデンプンの塊を蓄えた、粒が大きな酒米ができるのです。
「酒米買うなら土地見て買え」
これは、古くから酒造家の間で語り継がれてきた格言で、良い酒米ができるのは、気候や土壌などの条件が重要であるという考えから来ています。
兵庫県北播磨・六甲山北部地域は、良質な酒米が育つ地理的・気候的な優位性を備えていることがわかります。
食用米のコシヒカリ(写真左)と山田錦(写真右)。
見比べると明らかに山田錦のほうが粒が大きく、真ん中に心白(しんぱく)と呼ばれるデンプンの塊が確認できます。
山田錦の育成に最適な粘土質の土壌環境
三木市吉川町の神戸層群の地層。
粘土質のこの地層が高品質な山田錦を育ててくれます。
兵庫県産山田錦の栽培地域の土壌は、古第三紀中期始新世から初期にかけて形成された「神戸層群」です。
約3,700万年前から300万年前にかけて堆積した疑灰岩、疑灰質頁岩が風化してできた粘土質の土壌で、全層がモンモリロナイトを主体としています。
このモンモリロナイトというのは、粘土鉱物に含まれる超微粒子の粘土。
粒子は非常に細かく、水を吸収して膨らむ性質を保つため、保水性や保湿性が高いのが特徴です。
肥料や水の保持率が高いモンモリロナイトを主体とする粘土質の土壌は山田錦の成育にこの上ない環境といえるでしょう。
加えて、稲の生育を豊かにするマグネシウムやカルシウムも豊富です。
「酒米買うなら土地見て買え」の正当性に納得させられます。
兵庫県の酒米生産のさらなる発展に向けて整備された「酒米研究交流館(加東市沢部591-1)」のロビーには、土壌標本が展示されています。

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