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【姫路】漢方・発酵食品の専門家が手掛ける新たな試み、姫路発の発酵クラフトコーラ開発ストーリー|株式会社マルセイ

【姫路】漢方・発酵食品の専門家が手掛ける新たな試み、姫路発の発酵クラフトコーラ開発ストーリー|株式会社マルセイ
目次

    漢方・発酵食品を研究開発・製造する株式会社マルセイ。
    その商品開発を担う国際中医師・発酵工学研究者、木元聖花さんと娘の発酵薬膳士の仁玉さんに、漢方や発酵食品についてお伺いしてきたシリーズインタビュー。

    第3回目の今回は、マルセイの知見や技術を地域活性化に生かす新たな取り組みをレポートします。

    手掛けたのは、神河町産のはりまゆずと自然農法で育てた姫路生姜を使った姫路クラフトコーラ酵素ドリンク「姫路はっコーラ」。

    これは、神河町のゆずを守る「はりま きもりびと」の福岡加奈さん、播州の絆を促進する「HarimaLien(はりまりあん)」の菅原かおりさんとマルセイがタッグを組んだからこそ実現した画期的なSDGs商品です。

    モノづくりや地域活性の分野でイキイキと活躍する4名の女性に、「姫路はっコーラ」開発のきっかけや完成までの試行錯誤、商品への思いなどをお話しいただきました。

    神河町のゆずの木を守る活動から商品開発がスタート

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    姫路クラフトコーラ酵素ドリンク「姫路はっコーラ(3,240円/300ml)」
    容器はあえて薬の瓶をイメージするガラス、ラベルは大正ロマンをイメージするレトロなデザインに。
    常は煮詰めるだけのクラフトコーラの中で、発酵技術を駆使した特別な逸品に仕上げました。


    福岡さんが携わる「はりま きもりびと」は、神河町のゆず畑を後世に残すための活動を続けるグループです。
    神崎郡神河町はゆずの特産地として、以前は120軒ほどのゆず農家がありましたが、生産者の高齢化や後継者不足、肥料の高騰などで、今は14軒にまで減少してしまったのだとか。

    福岡さんは「『はりま きもりびと』のロゴは、1個だけ実を残したゆずの木を描いているのですが、これは木守柚(きもりゆず)といって、来年の豊作を祈って実を1個だけ残す農家さんの習慣です。でも、今では1個どころか、収穫されずに、たわわに実った状態で放置されてしまっているんです」と話します。

    実は、ゆずの木には長く尖ったトゲがあり、収穫には溶接用の革の手袋とヘルメットが必要なほどの難仕事。
    かねてから交流のあった仁玉さんや菅原さんを伴い、収穫の手伝いに行くこともあり、収穫されずに残ってしまうゆずを何とかしたい!と共通の想いを抱いたことが開発のきっかけになりました。

    もともとマルセイでは、使い道が見つからず困っていた自然栽培米の米ぬかを有効活用した「奇跡の酵素玄米粉」など、手間暇かけた自然栽培による農産物を適正価格で買い取ることによって、生産者を支えてきた経緯があります。

    仁玉さんは「マルセイの商品『オーガニックブルーベリー酵素原液 藍潤(あいじゅん)』も、姫路市安富町の農薬不使用のブルーベリーを使用しているのですが、ブルーベリーの収穫は年1回、6月頃。生で食べるのがおいしい果実ですが、販売できる期間が1ヶ月弱しかないんですね。冷凍にすると一気に価値が下がってしまうので、加工品にしますが、ジュースやジャムだと1個数百円程度。もっと付加価値を高める商品ができないか?と相談にこられたのが開発のきっかけでした」と振り返ります。

    収穫を手伝うだけでは、持続可能な生産には繋がりません。
    付加価値の高い加工品を開発して、販路を拡大する=利益を生み出して農家さんに還元することこそが、生産者を守り、しいてはゆずの木を守ることにつながると決意し、加工品の商品開発が始まったそうです。

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    開発メンバーを含むはりまの女性団体で神河町に足を運び、ゆずの収穫を手伝うことで、収穫の大変さを実感。
    木守柚(きもりゆず)の前で、ゆずフレッシュジュースを飲み、商品の構想をブレストしました。

    スパイスが決め手のクラフトコーラ開発は、漢方の専門家「マルセイ」の得意分野

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    写真左から、国際中医師・発酵工学研究者の木元聖花さん、「HarimaLien(はりまりあん)」の菅原かおりさん、発酵薬膳士の木元仁玉さん、「はりま きもりびと」の福岡加奈さん。


    商品をクラフトコーラにした背景は、意見交換の中で出た「姫路って、有名なお土産品が少ないよね」という共通認識。
    クラフトビールに続き、クラフトコーラによる地域活性化の取り組みが全国的に広がりつつあるタイミング。
    販路拡大のためにも、「姫路を代表するお土産品に育てたい」との思いから、クラフトコーラ案が浮上しました。

    しかも、コーラはその昔、薬剤師が健康促進のためのシロップとしてスパイス原料を煮詰めて完成させたのが起源とも言われています。
    さまざまな漢方やスパイス原料を使って、健康をサポートする数多くの商品開発を行ってきたマルセイの得意分野というわけです。

    レシピ開発を担当した菅原さんは、「ネットでもレシピがたくさん出てくるんですが、クラフトコーラの作り方は、数種類のスパイスと砂糖を煮詰めて作るのが基本。だから、味の決め手はスパイスの配合です。そして、スパイスといえば、シナモンは桂皮、クローブはチョウジ、アニスは八角など、実は漢方の生薬なんです」と声を弾ませます。

    加えて、かつては姫路の特産品だった生姜を使った酵素ドリンクを聖花さんが開発中だったという偶然が重なりました。
    開発の技術面を担った聖花さんは「姫路市船津町に無農薬・有機栽培で作物を育てている農家さんがあって、生姜の買い手がつかず困っておられました。生姜は漢方でも広く使われる生薬で、身体を温めたり、汗を促進したりする効果が期待されます。ちょうど漢方の甘草生姜湯に興味があったので、船津町の生姜をすべて買い取りました」と話します。

    その生姜をマルセイ独自の技術で発酵させ、喉や花粉症にいいことで知られている甘草を加えて生姜酵素ドリンクを完成させた聖花さん。
    商品化するにあたって、マーケティング担当の仁玉さんの「もう少し工夫が必要かも」という判断から発売には至らず、家族や社員内で愛飲されていたそうです。

    自然由来の素材だけを使った発酵ドリンク「姫路はっコーラ」

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    「姫路はっコーラ」に先立ち、マルセイの酵素温泉に神河町のゆずの皮を加えた入浴料「はりまゆずの酵素温泉」を600個限定発売でリリース。
    1袋にゆずの皮がたっぷり3個入りで、お肌がつるつるになるうえ、香りもいいと大評判に。
    好評につき、2024年のゆず収穫分は完売していますが、2025年冬のゆず収穫期には再度販売予定とか。


    さまざまなクラフトコーラを取り寄せて飲み比べをしている時、仁玉さんはあることに気付きました。
    「あれっ?この味、似たものを飲んだことがあると思って...。何だろうと考えていると、母の作った生姜酵素だと思い出しました。そして、母の生姜酵素の方が断然おいしかったんです」

    その理由のひとつは、やはり発酵。
    熟成発酵した聖花さんの生姜酵素は、生姜のツンとくる刺激がなく、味わいがマイルド。
    そのうえ、独自の技術により砂糖を使わず仕上げているので、甘味もほどよい自然の風味が生きています。

    仁玉さんは「クラフトコーラは原材料の第1位に砂糖が来るものも多く、砂糖が主原料と言っても過言ではないほど大量に使用されています。『姫路はっコーラ』では、もともと砂糖を一切使わないマルセイの酵素ドリンクの製造技術を応用しているので、クラフトコーラなのに砂糖は一切使用していません。その代わり蜂蜜やオリゴ糖で自然な甘さを実現し、さらにこれらの健康効果も狙っています。」と断言します。

    ただ、自然由来の身体に良いものだけで作ると、ひとつだけ困ったことがあったと菅原さんは言います。
    「最初は色が出なかったんです。クラフトコーラの色って、砂糖を煮詰めたカラメルの色なんですね。『姫路はっコーラ』は砂糖を一切使っていないので、色が薄過ぎて...。それで、聖花先生にお願いしてスパイスの配合を調整していただきました」

    そこで、1滴の水も使っていない柿100%の発酵エキス「柿参(カキジン)」をプラス。
    より身体にいい成分を加えるなど、配合の調整を行うことで、自然な生薬の色が出るように。

    そうして、神河町のはりまゆずに無農薬の姫路生姜を発酵させて、漢方素材も加えた生姜酵素、マルセイ発の柿の発酵エキス「柿参」など、姫路産の素材をふんだんに使ったメイドイン姫路の「姫路はっコーラ」が誕生したのです。

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    神河町のゆずを守る「はりま きもりびと」の福岡加奈さん。かわいいゆず帽子姿で、熱い想いを語ってくれました。
    「はりま きもりびと」の活動はInstagramをチェックしてみてください。

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    「姫路はっコーラ」や「はりまゆずの酵素温泉」の販売元「HarimaLien(はりまりあん)」の菅原かおりさんはレシピ開発を担当。
    マルセイ四姉妹の四女としても活躍中です。

    次世代の子どもたちに自然や農産物を残すため、SDGsな活動を続けたい!

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    聖花さんの発酵・漢方の知識と技術力、センス抜群の福岡さんの企画力、フードスペシャリスト菅原さんのレシピ開発力、そして仁玉さんのプロデュース力が結集して姫路の新しい名物となりうる商品が完成しました。


    「姫路はっコーラ」の開発当初、メンバー内で「循環型の商品にしていきたい」と話していたそうです。
    最後に開発メンバーから商品への想いを語っていただきました。


    聖花さん

    コーラにまったく興味がなかったので、クラフトコーラって何?というところからのスタートでした。
    でも、自分自身で会心の出来栄えだと思っていた生姜酵素ドリンクも日の目を浴び(笑)、非常に良い商品になりました。
    発酵・漢方素材がふんだんに入っているので、子どもから大人まで腸活にもぴったりですし、日々の免疫サポートにも繋がります。
    通常のクラフトコーラとは全く違う、「飲んで、家族も地域も元気になるクラフトコーラ」として自慢の商品に仕上がりました。

    福岡さん

    この「姫路はっコーラ」を1本飲めば、はりまゆず3玉を救うことができます。
    33本ではりまゆずの木1本を守ることができるという、持続可能な商品開発を目指しています。
    「はりま きもりびと」のミッションは、一面の木守柚の風景を取り戻すこと。
    つまり、すべてのゆずが収穫されて、ちゃんと活用されること。
    ほかにも、田園を守る「たもりびと」、親子の笑顔を守る「おやこもり」など、いろいろな側面から、自然や人の絆を守る活動を続けていきたいと思っています。

    菅原さん

    自分の子どものための腸活をしたいと考えていたのですが、発酵ドリンクだとなかなか飲んでくれなくて...。
    それが、「姫路はっコーラ」の場合、コーラなら飲む!と(笑)。
    私と同じようなママさんが多いと思うので、子どもたちの健康のためにも、広く知ってもらいたいですね。
    第一弾の「姫路はっコーラ」はマイルドな飲み口なんですが、これが定着したら、辛口が好きな人のためのよりスパイシーなガツンとくる第二弾にもチャレンジしたいです。

    仁玉さん

    姫路市は2021年よりSDGs未来都市に選定されています。
    マルセイと「はりま きもりびと」や「HarimaLien」との連携で、さらに幅広く子どもたちの未来の自然を守る活動を続けていきたいと思っています。

    姫路発の、人も地域も元気になるSDGs商品「姫路はっコーラ」は、4月下旬販売スタート予定です!
    とってもまろやかでおいしくて、飲んだ瞬間から体ポカポカが体感できる商品なので、ぜひ楽しみにしていてください。



    ―――――――――インタビューを終えて。

    次世代に自然を残すため元気にイキイキと活動するはりまの女性たち。
    これからの活躍にも目が離せません。

    「姫路はっコーラ」に関する最新情報は、文中記載の「はりま きもりびと」「はりまりあん」のInstagramか、文末記載の株式会社マルセイのInstagramで随時更新予定だとか。
    ぜひフォローして、最新ニュースをチェックしてみてください。


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    「姫路はっコーラ」のネーミングは、発酵コーラを飲んで「はっ」と驚くことの語呂合わせ。
    多くの人に「はっ」と驚く美味しさと健康サポートを実感してほしいとの願いが込められています。

    プロフィール

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    木元 聖花さん
    株式会社マルセイ 専務取締役
    国際中医師、中医薬膳指導士。
    NPO法人WAHAHAの会 理事長。

    1986年 国際留学生として来日し、広島大学で発酵工学を研究。
    1991年 姫路の老舗発酵食品メーカーの技術開発研究所 主任研究員。
    2002年 株式会社マルセイ創業。特許9件を開発した独自技術で発酵食品を製造販売。
    また国際中医師として、過去1万件以上の健康相談に乗り、ひとりひとりの悩みや生活習慣に寄り添って、オーダーメイド漢方食品を提供する。

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    木元 仁玉(じんぎょく)さん
    株式会社マルセイ 取締役
    株式会社J LINK INTERNATIONAL 代表取締役
    発酵薬膳士

    2005年 同志社大学商学部に入学。
    同時にメイクアップ専門学校にも通い、20歳で大学を休学してNYへ留学。
    2010年 全国学生起業家コンテストで【優秀賞&オーディエンス賞】を史上初のW受賞。
    23歳で起業し、同年、株式会社J LINK INTERNATIONAL代表取締役に就任。
    2018年から株式会社マルセイの取締役にも就任し、現在は発酵薬膳士としても活動中。

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    みメンバー限定! プレゼントあり

    詳細情報はこちら

    店名 株式会社マルセイ
    住所 姫路市安田4-80 ABINOビル8F MAP
    定休日 土・日曜日、祝日
    電話番号 0120-031-117
    営業時間 9:00~17:00
    駐車場
    アクセス JR・山陽姫路駅 徒歩13分
    HP 株式会社マルセイ【公式HP】
    株式会社マルセイ【公式Instagram】
    その他 お問い合わせ・ご予約の際は「まるはりor姫路みたい」を見た。とお伝えいただくとスムーズです。
    2025年4月25日時点での情報です。
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