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【西播磨フードセレクション】ツクリビト 連載インタビュー 生産者Vol.06 元気工房さようの『もち大豆豆腐』
【西播磨フードセレクション】ツクリビト 連載インタビュー 生産者Vol.06 元気工房さようの『もち大豆豆腐』
元気工房さよう
【西播磨フードセレクション】ツクリビト 連載インタビュー 生産者Vol.06 元気工房さようの『もち大豆豆腐』

温暖な瀬戸内式気候から、川や山など自然あふれる山間部まで、相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町からなる西播磨は、多様性に富んだ気候風土に育まれた農林水産物が豊富に揃っています。

そんな西播磨の農林水産物を使った加工品を応援するために、2012年に発足したのが、「西播磨フードセレクション」。

素材のおいしさを大切に、食べる人への愛が詰まった受賞食品はすでに73品を数え、作り手のこだわりが満載の逸品がラインナップされています。

そこで、受賞食品のおいしさの秘訣を探るべく、生産者を訪問。
特産物の特徴や製造過程の創意工夫などを連載インタビューでお届けします。

第6回は、佐用町の「元気工房さよう」が手掛ける『もち大豆豆腐』です。

2024年3月に「味わいの里三日月」がリニューアルオープン!

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株式会社元気工房さようは、佐用町内の株式会社三日月特産加工組合、有限会社ふれあいの里上月、南光ひまわり館の3つの組織を経営統合し、2020年に設立されました。

2024年3月には、直売所・レストラン・そば処を備える「味わいの里三日月」がリニューアルオープン。買い物から食事まで楽しめる佐用町の新たな名所として観光客にも人気を集めています。

氷ノ山・後山・那岐山国定公園の一角に位置する佐用町は、全国名水百選に選ばれた清流・千種川やその支流の佐用川などが南北に流れる中山間地。
千種川の良質な水や寒暖差の大きい山間の風土、清涼な大気など、その豊かな自然環境を活かした特産物も豊富で、加工品も充実しています。

佐用町は2005年10月に、(旧)佐用町・上月町(こうづきちょう)、南光町(なんこうちょう)、三日月町(みかづきちょう)の4町が合併して誕生した自治体です。
合併以降も、特産品の加工や直売所の運営をそれぞれの旧町で行っていましたが、さらなる集客力や売り上げアップを目指し、3つの組織が経営統合されました。

そして、2020年に設立されたのが株式会社元気工房さよう。
佐用町を代表する農産物「佐用もち大豆」を使った豆腐やみそ、ひまわりオイルなど、佐用町の特産品の生産と、直売所「味わいの里三日月」「ふれあいの里 上月」「南光 ひまわり館」の運営を手掛けています。

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リニューアルした「味わいの里三日月」の直売所では、佐用町で採れた新鮮な野菜や多彩な加工品が購入できます。
住所:佐用町乃井野1266 電話:0790-79-2521
営業時間:(直売所)9:00~17:00/(そば処・レストラン)11:00~14:00
定休日:(直売所)1月~2月 は月・火曜日、3月~12月は火曜日/(そば処)月・火曜日/(レストラン)火・水曜日 ※祝日営業(振休有)

大粒で甘くコク深い「佐用もち大豆」は佐用町の在来種

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「佐用もち大豆」は2019年に地理的表示保護制度に登録されました。

※(農林水産省引用)地理的表示保護制度は、その地域ならではの自然や歴史、文化、風習の中で育まれてきた品質や社会的評価などの特性を有する農林水産物・食品を国が登録し、その名称を地域の知的財産として保護する制度。

「佐用もち大豆」は、一般的な大豆の品種より大粒で、強い甘みと深いコクが特長。
タンパク質の含有量が多いので、柔らかく粘りがあり、もちもちした食感が楽しめます。

佐用町は周辺地域と比べても寒暖差が大きく、千種川水系の豊かな水源に恵まれた風土から生まれる幻想的な朝霧で有名ですが、この気候条件が良質な大豆を育む秘訣。
登熟期の9月から収穫期の12月まで、昼夜の寒暖差が10度以上になることで、日中の光合成で生成された養分が、夜間の低温によって効率的に子実に蓄積されるそうです。

実は、この「佐用もち大豆」は佐用町内のみで生産している在来種。
種子は町内の専用農家で原種が栽培され、徹底した管理のもと、品種固有の特性や形質、純度を維持しています。
栽培に手間がかかるこの大豆を「この町にしかない宝物だから」と、地域で手塩にかけ大切に守り続けてきました。

その取り組みや品質が評価され、大豆としては全国初となる地理的表示保護制度(GI)の登録を果たしました。

「佐用もち大豆」の旨みが凝視された『もち大豆豆腐』

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2013年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞した『もち大豆豆腐 手づくり絹』は、滑らかな口当たり。
「佐用もち大豆」のおいしさがダイレクトに楽しめる冷奴で食べるのがおすすめです。

「佐用もち大豆」を100%使用し、赤穂産の天然にがりだけで作る『もち大豆豆腐』も人気の加工品。
「元気工房さよう」では、絹ごしと木綿の2種類を生産しています。

製造方法は、まず丁寧に洗った豆を水に浸し、十分に水分を含ませます。
それを砥石で挽いて、生呉(なまご)と呼ばれるドロドロの状態にしてから、蒸気で加熱。
大豆本来の豊かな風味とまろやかな甘みを引き出し、雑味を除いてから豆乳を絞ります。

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大粒で色つやが良い「佐用もち大豆」を丁寧に洗浄し、浸水。
豆がふっくらと膨らみます。

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十分に水を含んで膨らんだ豆を砥石で挽き、ドロドロとした状態の生呉(なまご)を作ります。

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大豆タンパクを凝固しやすく、成分を最大に溶出させるために、生呉(なまご)を加熱してから、豆乳を絞り出します。

現在の絹ごし豆腐の作り方は、豆乳をプラスチック容器などに充填し、密封した容器ごと加熱して凝固させる充填製法が主流ですが、『もち大豆豆腐』の絹ごしは、伝統的な型詰め製法で作られています。

型詰め製法は、型箱に入れた豆乳ににがりを混ぜたあと、時間をかけて常温で冷ましていきます。
豆腐がしっかり凝固したら、4℃に保たれた冷水で水晒しをします。
この水晒しの工程が型詰め製法のポイント。
余分な凝固剤が抜けることで、昔ながらのさっぱりとした味わいや風味を楽しむことができます。

手間暇かけて作られる『もち大豆豆腐 手づくり絹』は、クリーミーで甘く、なめらかな口溶けともっちりとした食感が特長。
2013年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞しました。

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できたての豆乳を型箱に流し入れていきます。

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凝固剤が均一に混ざる様に注意深く混ぜていきます。

一方の木綿豆腐は、豆乳ににがりを入れて混ぜ合わせ、一部凝固が始まった寄せ豆腐を、布巾を敷いた型箱に流し入れます。
この型箱は周囲には孔があいており、上から加圧することで、水分が排出できるつくりになっています。

最初は軽い重しで水分を排出し、ある程度水が切れたら加圧を強くしていきます。
このように段階的に圧力を調整することで、急激な圧力で豆腐の組織が崩れるのを防ぎ、きめ細かく、しっかりとした食感に仕上がります。
最後に絹ごし豆腐と同様、水晒しをして、切り分けます。

『もち大豆豆腐 手づくりもめん』『もち大豆豆腐 手づくり絹』は、「味わいの里三日月」と「ふれあいの里 上月」だけの限定販売。
数量限定なので、ぜひ足を運んで試してみてください。

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何回にも分けてプレスし、丁寧にゆっくり水分を除いていきます。

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昔ながらの豆腐一丁の大きさに切り分けます。1個400gの食べ応えのあるボリュームです。

兵庫県産の材料だけで手作りされる『もち大豆みそ』

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甘みと塩気のバランスがいい『もち大豆みそ』は、西播磨フードセレクションに加え、五つ星ひょうご選定商品にも選ばれており、佐用町を代表する特産物として人気です。

かつて佐用町のみそづくりは、すべて地産地消でした。
畑の脇に植えた大豆でみそを仕込み、家族で食べる。
この伝統的な製法を守り続けているのが、佐用町の主力特産物『もち大豆みそ』です。

使用するのは、大豆・米・塩の3つの材料だけ。
豆は「佐用もち大豆」、米は佐用町の米農家の契約米、塩は赤穂のあらなみ塩とすべて兵庫県産。
こうじから丁寧に手作りで仕込まれ、桶で10ヶ月じっくりと熟成させたみそは、甘めでまろやかな旨みが特長。
2012年度の西播磨フードセレクションでグランプリを獲得しました。

また、佐用町といえば、畑一面に輝くひまわり畑でも有名ですが、見るだけではなく、さらに有効活用ができないかと考えられたのが、ひまわりオイルです。
栽培期間中無農薬の種で育てたひまわりの一番搾りオイルは、オレイン酸やビタミンEが豊富。

薬品を一切使わずに手作業で約10日間かけて徹底的にろ過を行うことで、黄金色の輝きと透明感の高い天然オイルが仕上がります。
そのひまわり油を使った『ひまわりのドレッシング』は、2014年度の西播磨フードセレクションで金賞を受賞しました。

「佐用もち大豆」にひまわりオイル、三日月そば、自然薯、ぶどうやいちごなど、豊かな自然が育むおいしい食材が満載の佐用町。週末はドライブがてら、「味わいの里三日月」で買い物と食事を楽しんでみてはいかがでしょう。

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サラダだけでなく、肉や魚介、麺類にも合うと評判の『ひまわりのドレッシング』。
「元気工房さよう」の直売所では、ピュアオイルのひまわり油も販売されています。

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「味わいの里三日月」では、三日月町の在来種そばを100%使った手打ちそばが食べられるそば処「三日月庵」も併設。

Product 商品紹介

もち大豆豆腐
もち大豆豆腐
住所:佐用郡佐用町乃井野1266
電話:0790-79-2521
もち大豆みそ
もち大豆みそ
住所:佐用郡佐用町乃井野1266
電話:0790-79-2521
ひまわりのドレッシング
ひまわりのドレッシング
住所:佐用郡佐用町乃井野1266
電話:0790-79-2521
おいしい味噌棒主
おいしい味噌棒主
住所:佐用郡佐用町乃井野1266
電話:0790-79-2521

Maruhari まるはり掲載号

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