


ささ営農の『バジルペーストカップ』
南は瀬戸内海から北は奥深い山間部まで、豊かな自然が広がる西播磨(相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)は、多様な風土が育む魅力的な農林水産物の宝庫です。
瀬戸内海や山の恵み、伝統的な醸造食品に創意を凝らした加工食品など、バラエティーに富んだ特産物が盛りだくさん。
2012年にスタートした「西播磨フードセレクション」は、そんな西播磨のおいしい農林水産物を使った加工食品を応援する企画。
素材のおいしさを大切に、食べる人への愛が詰まった受賞食品はすでに73品!
いずれも、作り手のこだわりが満載の逸品揃いです。
そこで、受賞食品のおいしさの秘訣を探るべく、生産者を訪問。
作り手のこだわりや試行錯誤、熱い想いなどを連載のインタビューでお届けします。
第5回は、たつの市の「ささ営農」が手掛ける『バジルペーストカップ』です。
爽やかなバジルの香りが立ち込めるバジル畑が一面に広がる、笹野地区の収穫風景。毎年4月に新しい種を播き、1ヶ月程度はハウスで栽培。ゴールデンウィーク頃に畑に植え替え、6月から10月上旬頃まで収穫します。
清流・揖保川の東岸、中国道と山陽道の中間に位置する笹野地区(下笹、上笹2区)は、良質な水資源、温暖な気候に恵まれ、昔から水稲を中心とした農業が盛んなエリアです。
今回の訪問先は、そんな笹野地区の豊かな風土をいかした集落営農を手掛ける株式会社ささ営農。
一面に広がるバジル畑で、竹村工場長にお話を伺いました。
「バジルは水耕栽培のイメージが強いかもしれませんが、ささ農園のバジルは露地栽培です。
有機質肥料を使った土と揖保川水系の水、太陽の光をたっぷり浴びて育つので、香りが強く、肉厚なのに柔らかい良質なバジルが収穫できます」と竹村さん。
こまめに手入れすることによって、農薬を極限まで削減。
残留農薬が国の基準の1/10以下、人と環境に配慮した持続可能な栽培方法など、兵庫県認証食品の中でも特に厳しい基準を設けた「ひょうご安心ブランド」認証も取得しています。
品種は甘く爽やかな香りと艶やかな緑色の葉が特徴のスイートバジル。
抗酸化作用があると言われるβ-カロテンやビタミンEが豊富に含まれています。
早朝に手摘みしたフレッシュなバジルは、その場で検品。手間暇かけた人の手による作業が風味豊かなバジルペーストを作り出しています。
「ささ営農」のバジル収穫は、早朝5時から始まります。
バジルの香気成分が朝露で引き出されるため、香りが最も良い状態は早朝だそうです。
また、気温の上昇と共に夜間に蓄えた栄養が消耗してしまう、まだ気温が低いうちは野菜の呼吸が抑えられ、水分も多くてフレッシュなど、早朝に収穫するメリットは多いとか。
収穫は、柔らかな若い葉だけを、丁寧に手摘みします。
『バジルペーストカップ』のおいしさの秘訣は、原材料であるバジルの品質の高さにあることは言うまでもありませんが、この手摘みも大きなポイント。
人の手だからこそ、苦味のある茎を避けて新葉だけを念入りに選別でき、雑味が排除できるのです。
手摘みにより収穫されたバジルは、畑の横でさらに検品。
長い茎や虫などが取り除かれます。
そして、バジル畑から車で5分の距離にある加工工場に搬入されます。
「ささ営農」のバジル畑では、1日に300~350kgのバジルを収穫しています。
以前は9月頃までの収穫でしたが、昨今の気温上昇を受けて、10月上旬まで収穫できるようになったそうです。
西播磨フードセレクションで、金賞(2015年)、特別賞(2016年)を受賞した『バジルペーストカップ』。
畑から運び込まれたバジルは、工場内に搬入される前に再度、検品が行われます。
徹底した品質管理も「ささ営農」のこだわりです。
衛生管理も万全な工場内で、洗浄殺菌と金属検査の工程を経たバジルを加熱します。
水で冷却した後、攪拌脱水で水分をしっかり取り除き、最後に少量のオリーブオイルを加えて粉砕したら、ペーストは完成!
竹村さんは「充填後、すぐに冷凍します。
例えば、朝8時にスタートして、最初のバジルペーストを冷凍庫に入れるのは10時半頃。
このスピード感がバジルの風味を逃さず、しっかり閉じ込める秘訣です」と力を込めます。
まさに、「畑から食卓へ」。
鮮度抜群のバジルをその日のうちにペーストにして凍結するので、摘み立てのフレッシュな風味を閉じ込めた、濃厚なバジルペーストに仕上がるのです。
少量のオリーブオイル以外は、保存料など余分なものを一切使わない、バジル100%の『バジルペーストカップ』は、2015年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞しました。
間違いがないよう、ひとつの工程ごとにカゴの色を変えて、ひと目で判別できるようにしています。また、加熱時には空気に触れてバジルの色が変わらないよう、浮き上がってきたバジルをエンマ棒で押し込むなど、加工にも随所にこだわりが。
加えているのはオリーブオイルのみ。フレッシュなバジルだけのペーストが完成です!バジルの収穫期以外は、さつま芋やにんじん、大根のペーストもここで作られます。
清流・揖保川の軟水を活用したこだわりの栽培方法で育てた「ささのお米」は、「ささ営農」を代表する農産物。バジルと同じく兵庫県認証食品「ひょうご安心ブランド」に認証されています。
「ささ営農」は2006年、兵庫県内で初めて営農組合を株式会社化。
いち早く6次産業化に取り組んだ先駆的な営農組織です。
現在は、70haもの管理農地で、水稲や小麦、大豆、野菜に果樹栽培など、さまざまな作物を生産しています。
竹村さんは「法人化する2年前に神戸市の食品加工会社から、自社で使用するバジルを生産してくれないかというオファーがありました。
当時はまだバジルって何?という人も多く、知識もなかったのですが、とにかくやってみよう!と栽培をスタートしました。
栽培を開始して9年が経過した頃、収穫したバジルの1次加工の話をいただき、2013年に6次産業化の認可を受け、2014年、1次加工施設を建設(竣工)しました」と当時を振り返ります。
工場稼働2年目に突如発生したカビ系の植物障害、ベと病による被害など、苦労も多かったそうですが、病気に抵抗力のある種子に変えるなど、試行錯誤を繰り返した結果、良質なバジル生産の安定化に成功したそうです。
「ささ営農」のバジルは評価が非常に高く、増産の要請がくるほど。
バジルはたつの市を代表する新たな特産品になりました。
また、自社の畑では限界があり、今では姫路市など他の地域を含めた16の部会に協力を仰ぎ、1日平均700kgのバジルを生産しています。
「日本の活力である農地を守ることが私たちのミッション。6次産業化により、地域に雇用を創出し、工場では地元の若者が働いています」と話す竹村さん。
2022年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞した『グルテンフリー ベジタブル・フィナンシェ』。冷凍販売なので、好きな時に少しずつ解凍して食べられるのも魅力。ギフトにもおすすめです。
「ささ営農」では、食品会社や学校給食などに原材料として納入する加工食品が主力となっていますが、『バジルペーストカップ』の他にも、オリジナル商品を開発しています。
中でも、『グルテンフリー ベジタブル・フィナンシェ』は2022年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞した評価の高い逸品。
神戸女学院大学の学生のアイデアで、同院の教授と共同開発しました。
これは、除草剤などの農薬を使用せず、メダカが元気に泳ぐほどキレイな水田で栽培された「メダカ米」と呼ばれる安全・安心なお米を米粉にして使用。
小麦粉不使用のグルテンフリー食品なので、小麦粉アレルギーの人も安心して食べられます。
フレーバーは、ほうれん草、ビーツ、にんじん、さつまいもの4種。
いずれも「ささ営農」で収穫した規格外の野菜を、新鮮なまま自社工場でペーストしており、野菜の自然なおいしさが楽しめる甘さ控えめのフィナンシェです。
『バジルペーストカップ』『グルテンフリー ベジタブル・フィナンシェ』はネットからの注文も可。
「ささ営農」の直売所でも購入できます。
笹野地区の豊かな自然と生産者のたゆまぬ努力が育てた農産物のおいしさを、ぜひ一度試してみてください。
「ささ営農」の直売所では、収穫したばかりの新鮮野菜やさまざまな加工品が購入できます。住所:たつの市新宮町香山1163-5 電話:0791-77-0070 営業時間:10:00~17:00
Product 商品紹介

住所:たつの市新宮町下笹1049
電話:0791-77-0177

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