「初午(はつうま)」とは?いつ開催される行事なの?由来や起源をご紹介!
近年、改めてクローズアップされるようになった「初午(はつうま)」をご存じですか?
2月最初の「初午の日」に行われるお祭りや風習のことで、この日はスーパーやコンビニで稲荷ずしがならびます。
一体どのような行事なのか、詳しく解説します。
そもそも「初午」とは?
「初午」とは、2月最初の「午(うま)の日」、もしくはこの日に行われる行事のことです。
初午の日、各地の稲荷神社では五穀豊穣や商売繁盛などを祈願して、「初午祭」というお祭りが行われます。
また2月の2回目の午の日を「二の午」、3回目の午の日を「三の午」と呼び、それぞれの日にも祭礼を行う地域があります。
2月最初の「午」の日に開催
2022年の初午の日は2月10日(木)、2023年は2月5日(日)で、日付が違います。
昔は「干支暦(かんしれき)」といって、年も日も、十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)で数えていました。「寅(とら)」年のように「子(ね)」の日や「亥(い)」の日などがあり、「午(うし)」の日がありました。
これは旧暦のため、現在の新暦とズレが生じてきます。そこで、初午の日は毎年変わります。
「初午」の由来は?
「稲成り」から語源が来ているといわれる「稲荷神社」。稲荷神は食物の神様で、「五穀豊穣」のご利益があるとされています。
稲荷社の本社である伏見稲荷神社のご祭神・宇迦御霊神(ウカノミタマ)が、伊奈利山(いなりやま)へ降り立った日が2月最初の牛の日であったことから、この日にお参りやお祭りをする慣習ができました。
「初午」の日に行うこと
稲荷神は「お稲荷様」とも呼ばれ、信仰が広がる中で、五穀豊穣以外にも商売繁盛・家内安全・学業成就・縁結びなど、生活全般のご利益があるとされるようになりました。
初午の日は、いわば稲荷神のお誕生日にあたり、各地でさまざまな行事が催されます。
稲荷神社にお参りする
平安時代から、初午の日には多くの人が「初午詣り」と称して稲荷神社を訪れ、家内安全を祈願してきました。
現在では各地の稲荷神社で「初午祭」が開催されています。全国の稲荷神社の数は3万を越えるので、それぞれの地域の初午祭を楽しむのもよいでしょう。
京都や茨城、愛知にある稲荷神を祀る主要な寺社へ、観光として行くのもおすすめです。
消防団の出初式が行われる地域も
古くから、「初午の日に雨が降らなければ、その年は火事が起こりやすい」という言い伝えがあり、初午の日には民衆が雨乞いをしていた記録が残されています。
その慣習は現代にも受け継がれ、無事故無火災を祈願して、初午の日に消防団が出初式をする地域があります。
「初午」に食べるもの
初午の日には各地でそれにちなんだ食べ物を作ります。ここでは代表的な食べ物をいくつか紹介します。
稲荷ずし
初午の日は、甘辛く煮付けた油揚げで寿司飯を包んだ「稲荷ずし」を食べるのが一般的です。
稲荷神社には狐の像が置かれていることが多いですが、これは稲荷神の「神使(かみのつかい)」が狐だからです。
この狐の大好物が油揚げとされていて、五穀豊穣の神である稲荷神によってもたらされた米を油揚げで包んだものを、初午の日にお供えとして出したのが稲荷ずしの始まりとされています。
東日本では米俵を模した俵型、西日本では狐の耳を模した三角形型で作ります。
初午だんご
「初午だんご」とは、そばやキビ、米粉などで作られた、まゆの形をしただんごです。
養蚕の盛んな富山県や岐阜県などの地域で作られていて、養蚕豊作を祈願して、蚕の神様にお供えしたのが始まりとされています。
大勢に振舞うほどにまゆがたくさんできるといわれ、近所に配る風習もありました。
しもつかれ
「しもつかれ」とは、鮭の頭や大豆、大根や人参などの根菜、酒粕を煮込んだものです。
鮭の頭には魔除けの力があるとされ、大豆は「魔滅(魔を滅する)」に通じることから、破魔招福の祈りが込められた料理です。
江戸時代の飢饉の際に、余り物を工夫して調理したものを稲荷神社にお供えしたのが始まりとされ、栃木県や茨城県などの北関東で食べられています。
初午の日を楽しみましょう
稲荷神のお誕生日である「初午の日」。
家族で稲荷ずしを作って食べたり、近くの稲荷神社に参拝したりするなどして、平安時代から続く日本伝統の行事を楽しんでみてはいかがでしょうか?