意外と知らない!酒蔵見学マナー講座 これであなたも日本酒美人

意外と知らない!酒蔵見学マナー講座 これであなたも日本酒美人
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    小寒をすぎ、酒造見学が本格化する時期なりました。とても楽しみの酒造見学ですが、守りたいルールがあります。このルールは、酒造からのお願いというより、限りなく禁忌事項。不用意なルール違反でとんでもないことになるかもしれません。ルールの理由をしって、男前な酒造見学をしましょう。

    納豆~枯草菌(こうそきん)

    f7ee23133697b335de5e3224bf6983b4_t.jpg酒造見学の前に、納豆を食べてはいけないと聞いたことはあるでしょう。納豆くらいに目くじらを立てるのかと安易に考えてしまいがちです。納豆に含まれる成分は酒造りに決定的なダメージを与えるのです。
    納豆のネバネバを作り出すのは納豆菌です。納豆菌が大豆を発酵させておいしい納豆になります。日本酒造りの要は麹です。麹作りに納豆菌がまぎれこんでしまったら、どうなるでしょうか?麹菌と納豆菌の生息環境はとても似ていています。酒蔵の麹室は納豆菌にとって、まさに超セレブが住むタワーマンションのようなもの。繁殖に適した温度や湿度が保たれる快適空調が24時間完備というホスピタリティ。この環境下ワイルドな納豆菌は、繊細な麹菌に圧勝します。納豆菌に縄張りを奪われた麹菌は、酒造りの命である麹酵素を作り出せなくなってしまいます。
    納豆菌に汚染された麹室は、100度の温度で30分以上殺菌する必要があります。
    そのため蔵人には仕込み中の納豆は禁止されているといいます。半年に及ぶ寒仕込みを終えて食べる納豆ご飯が最高のごちそうだといいます。
    納豆菌は枯草菌の一種で、土壌や植物に普遍的に存在し、空気中を飛散している常在細菌です。
    ガーデニングや山歩きをした後は、同じような注意が必要です。蔵に枯草菌を持ち込まにようシャワーして着替えてから酒造見学に参加しましょう。

    乳酸菌製品~火落ち菌~

    e38bb7bb8a5158373cc41ca6c9795a70_t.jpg次に注意したいのは、乳酸菌製品です。酒造りでは火落ち菌と呼ばれ、忌み嫌われています。乳酸菌は醪に重大な悪影響を及ぼします。醪とは酒母、麹、蒸米、仕込み水で造られた発酵中の液体を指します。これは「どぶろく」とよばれている酒ですね。醪を濾してようやく清酒ができあがります。荒い布で濾したものが「にごり酒」です。
    醪に乳酸菌が混入してしまうと、酸を大量に生成し酒は味を損ねます。はっきり言うと、売り物になりません。
    乳酸菌のやっかいなところは、殺菌効果のあるアルコールが含まれる状況でも繁殖ができることです。
    除去するには熱による撲滅以外に方法はありません。
    乳酸菌が含まれる食品は、ヨーグルト、漬物、チーズなどです。日常的に口にするものなので、ついうっかりということがないようにしましょう。
    滋賀の鮒ずしや金沢の蕪ずしなどのなれずしも乳酸菌発酵による名産品です。遠足のおやつにバナナは含まれません!っていうタイプの注意事項です。乳酸菌食品は禁止だと認識しましょう。
    冬の果物といえば、暖かいコタツで食べるミカンですね。実は柑橘類も酒造見学の前は控えるルールがあります。柑橘類の外側につく青カビと酸が、麹作りによくない影響を与えます。

    杜氏は酒造りの知識や技術に卓越しているだけでなく、使う道具を含め製造工程の衛生に細心の注意を払います。
    杜氏から指導された蔵人たちも同じです。神聖な場所である酒蔵を見学させていただく時は、杜氏や蔵人の毎日の努力を尊重して、最低限のルールを守るようにしましょう。

    龍力 本田商店の酒蔵見学へ行く

    528916_327939930603186_1880237003.jpg「龍力」の銘柄は今や全国区。吟醸酒、大吟醸酒では左に出るものがいません。山田錦をはじめとする地元産の酒米だけを使用しています。しかも本田商店の酒になれるのは、特A地区で収穫される厳選された米だけです。伝統的な生もと作りで天然の乳酸菌と酵母からじっくり日本酒を育てます。
    播磨を代表する本田商店の酒蔵見学は2月限定です。嬉しいのはこの期間なら平日、週末を問わず2名以上の申し込みでいつでも見学ができること。平日の午後7時からとか土曜日の午後3時からなどフレキシブルに対応してもらえます。
    酒造見学はガイド付き。しかも昭和の講談名人と呼ばれる会長や、笑顔を絶やさないのに酒造りに熱い想いを秘める社長、ドラゴンシリーズの開発で若き闘志を燃やす5代目蔵元に案内してもらえます。ちなみに5代目蔵元はイケメンです。
    酒造見学の後は、本社3階の会場で利き酒が行われます。自社の製品を売るための試飲会というより、本田商店の日本酒を味わってもらい、より興味を深めてもらうという時間です。日本酒の肴の持ち込みは自由です。
    この内容でワンコイン500円。酒粕のお土産もいただけます。もちろんお気に入りが見つかったら、会場で購入できます。 ⇒龍力と本田商店の酒造見学をもっと詳しく読んでみる

    店名 龍力 株式会社本田商店
    酒造見学期間 2018年2月1日から2月28日
    見学費用 500円(酒粕のおみやげ付)
    申し込み方法 2名以上で電話予約 079-273-0151
    住所 兵庫県姫路市網干区高田361-1 MAP
    アクセス 山陽本線網干駅より徒歩3分
    駐車場 専用駐車場 飲酒後の車の運転はご遠慮ください

    築弐百余年の酒蔵見学 壺坂酒造

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    壺坂酒造では1805年に創建され今も使われている酒蔵の見学ができます。

    自然と一体になって美味しい日本酒を創りだす環境を整えるのは、昔ながらの酒蔵でしかできません。
    壺坂酒造は蔵扉の開閉だけで温度と湿度を調節しています。
    蔵は2階建で、1階には醸造甕が据えられています。甕に麹を投入したり、圧搾したりするのは、2階部分の床板を開けて作業する仕組みになっています。
    この構造は昔ながらの酒蔵の建築構造ですが、現在ではほぼ残っていません。

    酒蔵見学の後は母屋にうつり試飲会になります。この母屋は築130年。どっしりした大黒柱には時間の流れが感じられます。
    クラシックな机と椅子はどこか不揃いで、その気取りのなさがくつろぎ感につながります。
    ご近所の人が草履をつっかけてふらりと入ってくるような温かい雰囲気です。

    酒蔵と母屋とも、姫路市都市景観重要建物に認定されています。

    酒蔵前掛けやTシャツ、日本酒を入れるのにぴったりの和柄手提げ袋など、オリジナル酒造グッズも充実しています。
    異業種とのコラボレーションによる酒粕飴、酒粕の燻製、酒粕プリンは、人気のお土産のようです。

    酒造見学は通年実施されますが、酒造りが忙しくなる11月から翌年の3月は、10時から12時になります。
    費用は無料。事前に電話での予約が必要です。

    杜氏と蔵人がたった3人で創りだす日本酒の酒蔵は、かならず目にした人の心に深い感銘を残すことでしょう。

     ⇒壺坂酒造の酒造見学をもっと詳しく読んでみる

    店名 壺坂酒造株式会社
    酒造見学期間 通年 11月~3月 10時~12時
    申し込み方法 2名以上で電話予約 079-336-0010
    住所 兵庫県姫路市夢前町前之庄1418-1 MAP
    アクセス 神姫バス 姫路北口17番のりば51、52系 松ノ本北下車すぐ 所要時間40分
    駐車場 専用駐車場 飲酒後の車の運転はご遠慮ください
    2018年1月25日時点での情報です。
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